GTOウィザードといえば、GTOを学ぶための解析ソフトです。
(ここからGTOを登録すると10%割引になります)
GTOウィザードのYouTube動画はすべて英語なので、ブログで翻訳してそのまとめを紹介していきます。
(あくまでも個人のまとめであり、わかりやすさを重視してまとめています。そのままの内容を理解したい方は動画をどうぞ。)
今回紹介するのは、
「The Big Picture」
「全体を見る」
参考にした動画はこちら。
動画の題名には「ポーカーを勉強するときに陥りがちな間違い‐効率的な勉強方法」と書いてあります。
この動画は、間違いを指摘して効率的な勉強方法を紹介しています。


- ペアになっている戦略に注目する
- 閾値を見つけ出す
- 全体のレンジ戦略。(ハンド戦略ではなく)
- 敵の反応を解析する
- エクスプロイトを検討する
- より大きな全体を見つけだす
大きな絵(Big Picture)を見つけて、ノイズに集中するのはやめましょう。
具体例を通して、なぜ小さなことばかりに気を配るべきではないのかを示していきます。

3つのソルバーを使った分析
1つのスポットを3つのソルバーによって解析していきます。
- UTG2.5xオープン、BBコール。
- フロップ「J♥T♦5♥」
(SRP、6max、nl500、100bb、general2.5x)
ソルバーで示される結果は、どれも最適な戦略をとっています。

>>GTO戦略vsエクスプロイト戦略
「GTOウィザード、GTO+、ピオソルバー」を使って分析した結果はこちら。
〈Accuracy(アキュラシー)は正確さを表していて、0.3%を計算すると違いはとても微々たる差。
ここでのアキュラシーの0.01~0.03の差も微々たる差。
他の前提条件もほぼ同じ〉
3つを比較してみます。
チェックとベットの%も少し違うのですが、もっとも違いが示されているのはCBサイズ。
GTOウィザードとGTO+では0.75xベットが10%ほどありますが、ピオソルバーでは0%です。

そして気が付くこと。
EVが3つとも同じです。
ソリューションが違っていてもEVは同じ
なぜEVだけが3つとも同じEVなのでしょうか?
この3つは正確には違った戦略で同じ期待値(EV)を出しています。
均衡の近似値をそれぞれのアルゴリズム(計算方法)で答えているのです。
違った戦略で均衡にたどりついています。
均衡には一つのソリューション(解答)があるわけではありません。
そこには均衡に達する複数の良い戦略があるのです。
ソルバーが異なれば解も異なります。
これら3つのソリューションは、すべて同じ搾取可能性に収束します。

大きな絵を見るとは?
ボード「J♥T♦5♥」に対してソリューションによって大きなベットもあれば小さなベットもあります。
さらに、一つのソリューションでそのスートの内訳をみてみます。
「A♥Q♥」はほぼ90%ベット。
「A♠Q♠」はベット頻度60%、「A♦Q♦」はベット頻度20%。
一つのソリューションで、ベットサイズも違えばスートごとのベット頻度も違ってきます。

でも、そうなるとどう勉強したらいいのかな?
その勉強方法をこの講義で示していきます。
より広い戦略や前後関係を見ていきましょう。
大きな絵を見るポイント
- 木を通して森を見る
- 各戦略の勉強方法(sims⇨戦略)
- 暗記と直観
- 閾値
- ハンドクラスパターン
- 集計トレンド
- ポラリティとEQ分析
- ブロッカー
- 対戦相手の戦略を見つけ出す
- カウンターエクスプロイトを考察する
一つのノイズにだけ集中するのは止めてください。
大きな絵を探し出してください。
さらにそれを実感するために、まずは「暗記」と「直感」を比べてみましょう。
ポーカーの勉強方法「暗記」と「直感」
ポーカーでよく話題になる議題。
「暗記」タイプと「直感」タイプのプレイヤーはどちらが強い?というような。

- この場面ではこの行動をとると決めておく⇨暗記
- この人にはこの選択、ここではこっちなど選択を変える⇨直感
(ここでは「Intuition」を「直感」と訳しています。
intuitionの英語辞典には「事実よりも感覚・感情に基づいて、即座に理解したり知ったりする能力」と説明されています。)
「暗記」と「直感」というように分けて、そのメリットとデメリットを探っていきます。

(ここでは対立関係として見ていきます)
このような2つに分けた場合に、それぞれの長所と短所をまとめてみます。
まずは「暗記」と「直感」の長所から。
「暗記」と「直感」の長所
まずは「暗記」の長所から。
「暗記」の長所
- 実行するのがより簡単
- ミスがより少ない
- マルチテーブルや自動操縦に向いている
(相手にアジャストしなくてよい場所で強い) - どの戦略もよりEVの起伏が少ない。
(負けが少なくてすむ) - 「上手なシンプルな戦略は、不十分な複雑な戦略よりも常に優れている」とよく言われる

- 柔軟性があり、適応可能で、より強いエクスプロイトになる
- 違ったサイズに対する対応を知っている
- 自分で考えることで能力が磨かれる
- より理論を理解できる
- 人工的な歪み(Artificial distortion)が少ない
人工的な歪みというのは、ソルバーでそのように示されていても、人ならば他の動きをしがちだということ。
(Artificial distortionをここではそのまま人工的な歪みと訳しています。)
例えば、初心者ならドンクスポットでドンクができないという頻度のミス。
この歪みは相手によって対応を変えることによってプラスEVになりやすい場所です。
「暗記(シンプルな戦略で場面によって対応をかえない)」の場合はこれをしなかったらどうするというところまで柔軟に対応できません。
その結果、一つの行動がしめされている「暗記」は、よりEVが稼げる場所でも稼げないのです。
しかし、「直感」ならば、「相手がドンクしなければどうすればよいか」という戦略を考えられます。

>>CBサイズの仕組み
「暗記」と「直感」の短所
「暗記」の短所から見ていきます。
「暗記」の短所
- 人工的な歪み
- 厳格さは、違ったラインへの対応方法を教えてくれない
- 根底にある原因を教えてくれない
- エクスプロイト能力に乏しい
- 学ぶことに対して非効率的
あなたは戦略をメモすることに必死で、なぜそうなっているかという理解をしていないのです。

- 暗記が不可能
- 初めは大失敗が多い
- プレイが上達するのに時間がかかる
- ノイズに費やす時間が増える
- 学ぶことに対して非効率的

暗記の制限
BBの戦略を暗記する場合、どのくらい暗記しなければいけないでしょうか?
- BBがSRP(シングルレイズドポット)で固くディフェンスする場合、フロップだけでコンビネーションは少なくとも230。(時には倍)
- ターン、リバーでひくカードは「49(残っているカード枚数)×48=2352」。
- 全フロップは1755通り。
- 対戦する5ポジションの暗記(UTG-SB vs BB)。
4,746,924,000通り記憶することがあります。
つまり47億!
ただし、これは対戦相手の戦略を除いています。
相手の違ったライン、異なるサイズ、3betや4bet、コールドコール、違ったオープンサイズ、レーキ。
SRP(シングルレイズドポット)のBBディフェンスだけで47億通り。
あなたが暗記で挑もうと思うのは、完全に無理な話。

「暗記」と「直感」でそれぞれ取り入れたいこと
- プリフロップを覚える
(よく使うキャッシュゲームのスタックなどを基準にする) - フロップのCB(パターン化に基づく傾向)
- ベットしていくライン

- 未来のストリートで何が起きるのか予測する
- エクスプロイト能力をより上達させる
- 直感的にパターン化していく
- バリューかコールするかの閾値を掴む
- 対戦相手の返しを掴む

お互いの長所と短所から、良いところを取り出しました。
「暗記」と「直感」の2つを使うことによって、「本当のポーカープレイヤー」に成長します。
次に具体的な「より大きな絵」を見る勉強方法を紹介していきます。
一つは閾値を知ること。
ポーカーの勉強方法①閾値を知る


例えば、コールしてもフォールドしてもどっちでもいいライン。
バリューの閾値、コンティニューする閾値として各境目を見ていきます。
- バリューの閾値⇨バリューのために、ベットやレイズをするもっとも弱いハンド
- コンティニューする閾値⇨続けるかフォールドするかを決めるもっとも強いハンド
同じEVであっても、コールするかフォールドするかレイズするかといったことを決めるのに、閾値を調べていきます。
同じボードであっても、ベットサイズによって閾値は変わります。
もちろん、暗記だと大量すぎて覚えられません。
しかし、閾値を捉えることで、より簡単に対応ができるようになっていきます。

閾値を知る
バリューの閾値はどのラインやテクスチャが「持っているハンド」に適しているかを教えてくれます。
閾値はこのような傾向があります。
- 閾値は初めはぼやけていますが、リバーに向けてまとまっていく
- ウィザードの「filters」や「breakdown」のタブで閾値がわかる
- ベットサイズやひくカードによる応対がわかる
具体例でみていきましょう。
閾値の具体例
(6Max、nl500、general、100bb)
- BTNオープン、BBコール(SRP)
- フロップ「Q♠9♦4♣」
GTOウィザードの設定画面。
まずは「FILTERS」(画像真ん中の赤い線)をクリックしましょう。
(ちなみに動画の解説者Tombos21さんは「horizontal」(画像黄色い線)で表示させるのがもっとも気に入っているそうです。
コンビネーションが分かれて表示されるからです。
今回の閾値をみるのにはみんなが慣れ親しんでいる「Vertical」を使用していきます。)

BBの閾値

- 8ポケ~5ポケはコールとフォールドが混じっている。
- 「4+キッカー」はコール
(フロップ「Q♠9♦4♣」)


(動画にこの部分はないです。)
robustの日本語訳は「強い」や「屈強」などです。
>>Robust Equity-EQの堅牢性
閾値と一緒にロバストエクイティを理解すると、よりいっそう座学に役立ちます。

ドローの閾値とブラフとバリュー比率
(フロップ「Q♠9♦4♣」(SRP)BTN0.75xベット)
続けてドローの閾値も見ていきます。
BBのオープンエンドはフォールドしません。
J8s、T8oなどいくつかのガットショットからフォールドがあります。
特にバックドアフラッシュドローがない(スートがない)とフォールド率が高めになります。
バリューとブラフ比率
閾値の説明で一つの質問がありました。
「なぜQ9の2ペアはチェックレイズするのに、Q4の2ペアはコールにとどめるの?」と。

一つの回答は、「もしソリューションよりもバリューレイズを増やすと、あなたはよりバリューヘビーになり、エクスプロイトされる可能性が増える」です。
エクスプロイトする場合にはQ4sでもチェックレイズするというのはありです。
しかし、閾値にはバリューとブラフ比率が関わっています。
0.75xベットに対して、BBはバリューとブラフ比率を全体でどのように構成しているのかも見ているのです。
(バリューブラフ比など、ポーカーの基礎知識を知るのにはこちらをどうぞ。
>>ポーカー基礎知識クイズ)

「BREAKDOWN」タブから閾値を知る
「BREAKDOWN」のタブはこちら。
(動画20分40秒の個所。黄色の線が引いてある箇所が「BREAKDOWN」タブ)

暗記してない場面でも、パターン化でより答えに近い解答ができそう
ポーカーの勉強方法②ハンドを各ボードで比較する
一つのハンドに注目してみましょう。
すると、似たようなボードではあるパターンが見つかることがあります。
見つかったらボード傾向を変えましょう。
分析によってパターン化された法則を発見して、それを壊してみます。

これも、全体を知るのにどう役立ってくるのかな…
パターンを見つける具体例
(6Max、nl500、general、100bb)
- BTNオープン、BBコール。
- フロップ「K♥Q♦2♦」
BTNのCBの多くは大きなベットサイズが好まれています。
「1.25xベット52%、チェック11%」
各ハンドで分けて見てみましょう。
「オーバーペア+」に注目。
あまりチェックはしません。
ほぼオーバーベットで構成して、少し他のサイズを加えています。
3rdペアに注目。
「K♥Q♦2♦」ボードでは、Qより下のペア(JJ~33)はほぼチェックが選ばれています。
ここであなたはベットのパターンに気がつくことができます。
「ポケットペアはチェック傾向だけど、より弱いポケットペア(4ポケや3ポケ)と(2+Aキッカー)はよりベットしている」、と。

パターン化されたボード

では、このパターンを破ってみましょう。
パターンが破られたボード
フロップ「J♥J♦4♦」。
「J」より下のアンダーペアはチェックよりもよりベット頻度が高くなっています。
法則のなごりとしては、「Tポケ<5ポケ」の方がベット頻度がわずかに高いくらいです。
ペアボードでのポケットペアはよりマージナルバリューがあるので、その優位性を全体に押し付ける形でベットします。
他のボードとの違いは、法則があったボードはサイズの大きなベットがあったけれど、このペアボードはほぼ小さなサイズでベットです。

パターン化する意味とは
違ったハンドでセカンドペア、サードペアといったように共通したパターンを見つけてみましょう。
そして、ボードタイプも変化させてみます。
同じボードタイプのときには表れていたパターンは、他のボードでは破られるのかを試していきます。
パターンが壊された時に、大きな戦略が見えてきます。

それが大きな戦略をつかむコツなんだね
- あるパターンを見つける
- どんなボードのときにそのパターンが壊れるのかを見つける
- なぜパターンが壊されたのかを分析する
- 大きな戦略を発見する

ポーカーの勉強方法③「フィルターリング」を活用する
「エクイティーバケツ(EQUITY BUCKETS)」を活用して、バリューとブラフをわけていきます。
黄色い枠で囲ってる個所。
同じようなベットサイズや、スートを調べるのにフィルターを通してみるとわかりやすくなります。
エクイティバケツを見る具体例
(6max、nl500、general、100bb、SRP)
- BTNオープン、BBコール。
- フロップ「J♦T♦6♥」
- BTN0.75xベット、BBコール
- ターン「2♣」ボード「J♦T♦6♥2♣」
- BBチェック、BTN
ターンのBTNを分析していきます。
BTNの行動を見てみると「オーバーベットが52%、チェック45%」です。
ここでも「FILTERS」タブを活用していきましょう。
フィルターの中で、バリューとブラフをまとめて表しているのが「エクイティバケツ」です。
4つあるグラフのうち、上2つがバリューベット、下2つがブラフというように分かれています。
バリューの閾値は「Good hands」の境目です。
オーバーペアを見てみると、「トップペア+ハイキッカー(Jより上)」がバリューの最低ラインだとわかります。
(赤いベットの線と、チェックする緑の線が混じっている個所だから。)
次に、ブラフを分析。
「オーバーカード+ガットショット」の「AK、AQ、KQ」などはブラフ。
「horizontal」タブを使うと、スートによる違いもすぐにわかります。
ベットの多くに♦を含んでいるフラッシュドローが多く含まれています。
ここで大事なのは、各ハンドをメモするのではなく、各ハンドパターンをメモします。
さまざまなフィルターを使って、トップペアのバリューベットの閾値をみたり、ブラフとバリューの集合の違いをみたりします。

エクイティーレンジ図を見る
次に、「エクイティ」のタブ(黄色い線)をクリックしてみましょう。
さらに、「エクイティバケツアドバンス」をクリック。(図赤線のタブ)

(代わりにBBにはミドルハンドが多くあります。)

レンジを比べる
次に、「エクイティバケツアドバンス」タブから「HANDS」タブに変えて分析します。
(赤線の個所にハンドタブがあります)
セット、トップペア、オーバーペアなどの割合が表示されます。
よりセットを持っているのはBTN。
BBはほぼセットをもっていないのがわかります。
(Tポケ・Jポケはプリフロップ3bet、6ポケはフロップでチェックレイズ)
BTNにフロップでベットされて、そこからコールするBBのレンジ図をみてみます。
すると、コールすることでBBのハンドクラスが強くなっていることがわかります。
- BBレンジにはトップペアが残っている
- BBレンジにはセカンドペア、サードペアも残っている。
BBがコールすることによって、レンジの形が変わっていくのです。
ここでは、BBがコールしたことにより、レンジの比較図がポラライズされた形をとります。
そして、これもパターン化してみましょう。
出てきたレンジの形の一例(あくまでも例です)
- ポラライズ⇨大きなベットが現れる
- レンジアドバンテージ⇨小さなベットが現れる

そして、違ったボードでそのパターンを壊すこともできる
さて、話を進めます。
BBのコールレンジにはより、トップペア、セカンドペア、サードペアが多いことがわかりました。
では、ターンでトップハンドやセカンドハンド、サードハンドがでてきたらどうなるでしょうか?

ポーカーの勉強方法④ターンレポート
「ターンレポート」タブをクリック。
(ターンまでボードを入力(「J♦T♦6♥2♣」)して赤線「REPORTS」をクリック)
BBは全体でドンクを約17%していることがわかります。
J(65%ドンク)やT(80%ドンク)がでたときは高頻度でドンク。
(ちなみに♦がでたときは30%ドンク)
なぜドンクができるのかというと、BTNのレンジを見るとわかります。
BTNが0.75xをベットするレンジにはBBレンジよりもトップペアが少ないからです。
ここでは、トップヒット「J」もよりBBレンジの方にあります。
BBレンジはコンデンスドレンジになっています。
⇨多くはミディアムハンドで構成され、とても強いハンドやとても弱いハンドを含まないレンジ

>>プリフロップ理論の基礎

- BBは頻度でドンクがある⇨ドンクをすることでBTNにエクスプロイトされないようにする。
- BBがドンクできない⇨ドンクができないことへのエクスプロイトはチェックバック。


パターンが破られるのも楽しいし、それを実行してみようと思うのも楽しい!
さて、次に対戦相手の反応はどのように見たらいいのでしょうか?

一つの謎の追求が全体に広がってるね
ポーカーの勉強方法⑤対戦相手の反応を知る
「このプレイは良かったのですか?」
という問いはあっても、質問者は相手の反応を見ていません。
「ブラフキャッチはパターン化できるのでしょうか?」
「戦略でエクスプロイトのミスはどのように起きているのでしょうか?」
そのような問いに答えるには、ブロッカーを理解することが求められます。
ブロッカーは相手の反応を見ることなしに理解することはできません。

具体的に見ていきます。
対戦相手の反応とブロッカー
具体例には今までと同じシチュエーションを使います。
- フロップ「J♦T♦6♥」
- BTN0.75xベット、BBコール
- ターン「2♣」ボード「J♦T♦6♥2♣」
- BBチェック、BTN1.75xベット。
ターンでBTNは1.75x(ポット175%)ベットを選択しました。
対するBB「オールイン6%、コール32%、フォールド62%」。
BBの閾値を見ていきます。
- コールができる閾値はトップペアからです。
(ボード「J♦T♦6♥2♣」)
「AJ、KJ、QJ」のトップヒット+ハイキッカーでコールができます。
ただし、QJはフォールド頻度もあります。 - セカンドペアはスートに関係なく「Tヒット+ハイキッカー」は30%ほどはコールしますが、他はほぼフォールド。
- サードペアは♦のフラッシュドローがあるところではコールしますが、他はフォールド。
- 大きなベットに対して、ドローではフラッシュドロー以外はあまりコールできないとわかります。
- さらにフラッシュドローでも、他に何もない場合はフォールドに傾きます。
A♦8♦は20%のコール。
K8s、K7s、K5s、K4s、K3s(♦)はピュアフォールド。 - K9s、Q8sなど、フラッシュドロー+ガットショットはチェックレイズ。
他のドローも複合していればコールに傾きます。
分析するといろいろな%が出てきます。
しかし実は、BBは「QJ」(フォールド20%)や「QT」(フォールド60%)ですが、この2つは実践ではあまり変わりません。
これはあまり良い具体例ではないので、このことを実感してもらうために、もっとレンジを狭くして見てみます。

なんで価値が一緒になるのかな。
ブラフキャッチャーを決める
リバー「A♣」ボード「J♦T♦6♥2♣A♣」
BTNは「オールイン42%、0.6xベット28%、チェック30%」です。
オールインの多くは2ペア+。
BTNのオールインに対して、BB「コール42%、フォールド58%」。
BBのコールする閾値を見ていきます。
(BBのコール42%中の26.7%がブラフキャッチャーとしてコールできるハンド)
「A7s、A8s、A9s、64s、65s、QJ」など、コール率が50%以下のハンドだとフォールドか、ブラフキャッチャーハンドになります。
ここでは「64s」であっても「A7s」でも、コールが同じく約25%で、ブラフキャッチャーハンドとしての価値は変わりません。
そして、ここで気が付くこと。
先ほどまでの閾値は一つのグラフの境目でしたが、今回はトップペアからローペアまで複数のグラフの境目が閾値になっています。

〈ただし、相手が正しいバリューとブラフ比で、正しくポラライズレンジでベット(ブラフかバリューでベット)していた場合〉

BTNはBBがどんなハンドでディフェンスしてくるのかを知っています。
例えば、「BBはAxではコールして6xではフォールドするだろう」と。
これに対してBBは相手のハンドを考えます。
BBは「56s」のコール頻度が20%というようなことを気にするのではなく、マージナルだけどブロッカーがあるからコール、というように。

MDFによる近似値など複雑な計算によって出されたコールの全体頻度が「42%」。
そこからソルバーによって緻密に計算された各ハンドの頻度を覚えることはノイズです。
なぜなら、例えばコール頻度20%のハンドでコールしたとしても、人間の感覚ではその20%を掴むことができません。
ソルバーが示す値は相手にエクスプロイトされない値。
その20%の頻度の違いに対してエクスプロイトを構築するのは難しいのです。
全体として、「このハンドはバリュー、このハンドはフォールド、このハンドはブラフキャッチャーでよりブロッカー効果でコールできる」など全体の傾向を掴んでいくのがより良い方法になっていきます。

ポラライズシーンでエクスプロイトするとしたら?
このシーンで、BTNがニット(固い)だった場合や、ルースアグレッシブだった場合を考えてみます。
もし相手が十分なブラフを持っていなかったら、特に相手がバリューヘビーだと感じたら、どのようにコールレンジを考えればいいのでしょうか?
その回答はエクイティ分布図にあります。
(リバーでBTNがオールインした後のBBからみたエクイティ分布図。BTNが緑、BBが青)
相手が適切にブラフができなかった場合、赤線より左のハンドはピュアフォールドです。
BBはエクイティがあるラインからのみ、コールを検討します。
ちゃんとした価値のあるハンドでのみ、コールです。
BTNがトップ2ペアをオールインしない理由
他の質問もありました。(ボード「J♦T♦6♥2♣A♣」)
「リバーでBTNが「JT」のツーペアをオールインよりもチェックバックする理由は何?」
ボード「J♦T♦6♥2♣A♣」での「JT」のツーペアはエクイティが80%ある強いハンド。
なぜオールインしないのでしょうか?
この理由はBBのコールレンジをみるとわかります。
BBは大半のハンドをブラフキャッチャーにまわしていますが、そのほとんどがJやTヒット。
それらからバリューをとるのが難しいという判断が一つ。
もう一つに、JやTヒットからコールされないとしたら、どこがコールしてくるのかを考えます。
大きなベットをしているけれど、JやTヒットではなくコールできるハンド。
そのハンドはさらに上のバリューハンドである可能性が高いのです。
(ブロックしてないAの2ペア、セットなど)
BTNのオールインが無差別になっているハンドも、相手のレンジやブロッカーを考えることで理由がわかってきます。

ポーカーの勉強方法⑥フロップレポート
ここではSPIN&GO(3人でのポーカー)のフロップ戦略を例に説明していきます。
全体的な傾向を掴むのにフロップレポートは向いています。
「フロップレポート」(真ん中)を開いて右側の「FLOPS」をクリックすると、相手がチェック、0.33xベットなど、それを行動した時の全体の傾向がわかってきます。

この機能はあまり活用されてないみたい。

左側の黄色い線「FLOPS」から「HIGHT CARD」をクリック。
フロップレポートの具体例

ポーカーの勉強方法まとめ
ポーカーの勉強には「暗記」と「直感」の両方が必要です。
そこにはたくさんの暗記するスポットがあり、そのスポットを発見するにはパターン化や考察といった直感が必要になってきます。
違った方法論と道具を今回は紹介しました。
全体の戦略を見つけ出す方法をまとめます。
- 閾値を勉強する
- 各ボードでハンドを比較してパターンを見つけ出す
- 「フィルター」を活用する
- レンジを比較する
- 「レポート」を活用する
- いつも対戦相手の戦略を見つけ出す
- パターンを見つけ出したら、そのパターンを壊す
パターン発見には、あまり使われていない戦略「complex」を比較に使うと、より様々なことが発見できます。
より先入観を壊してくれるからです。

