「Excelling At No Limit Hold’em」の「チキンボードに関する考察」一部抜粋

ポーカーの本は、まだまだ和訳されていないものが多くあります。

Jonathan Little’s Excelling at No-Limit Hold’em: Leading poker experts discuss how to study, play and master NLHE (English Edition)

ジョナサン・リトルや他のポーカープレイヤーが共同して書いているこちらの本の一部を紹介したいと思います。

チャプター「レンジ分析:ポーカーハンド分析の正しい手法 【チキンボードに関する考察】」
チャプター著者 Alexander Fitzgerald

なぜこちらの一部を紹介することになったのか?

その理由は私がこのチキンに当てはまっていたからです。

翻訳を編集した形で載せていきます。

翻訳:サトツさん

「Excelling At No Limit Hold’em」|チキンボードに関する考察

こんなことを実際に口に出したことはない。

けれど、私は堂々と「Q♦Q♥2♠」、「K♦5♥2♠」のようなレインボーボードを「チキンボード」だと思ってきた。

こんなボードをこちらがチェックレイズしたところで、何のふりもできちゃいない。

つまるところ、

「出来るものなら何かしてみろよ!」

と、相手に啖呵を切っているだけなのだ。

相手が何も出来ないことに一点張りした博打を打っているのだ。

これが有効な場面もある。

場面を見て行くために、A(オリジナルレイザー)、B(コーラー)と仮定してみていきます。

Aがオープン。
Bがコール。
プリフロップ「Q♦Q♥2♠」
Bがチェック。
Aがベット。
Bがチェックレイズ。

Bはスタックも少なく、ブラフも多そうだと想定できる場面。
B「出来るものなら何かしてみろよ!」と言っているようにAには聞こえます。

次のAの行動は…?

AはここでBに対してコール以上ができるでしょうか?

Bのチェックレイズが有効な場面をみていきます。

チェックレイズが有効な場面①

有効な場合①
スタックが浅すぎてBの間違い(Bがチェックレイズする)を正すためにAがオールインしなくてはならない時。

実際、Aは捕まったら自分のハンドを晒すことになるので、Aハイやそれ以下の手でオールインをやりたがりません。

そのため、ここでのチェックレイズは有効になり、Aはフォールドを選びやすいのです。

チェックレイズへの対策

しかし、AはBの戦略に負けたくない。

このような「チキンボード」でAがオールインができるかどうかの判断にはこの問いが役に立ちます。

A「チェックレイズに対して、私はどういう理由からオールインしなければいけないのか?」

この質問を考えるには多くの人が「いったいこのチェックレイズは何を主張しているんだ?Qのスリーカード?2のセット?ブラフ?」という疑問を浮かべますが、問うべきはこれではありません。

A「Bがこのボードで何とかしたいと思ったのなら、Bは何をしなくてはならないのか?」

これに対する回答は計算できるので、チェックレイズの必要成功率を計算してみましょう。

ここではチェックレイズ成功率が40%と仮定。

  • Bは何をしなくてはならないのか?⇨Bはチェックレイズで40%以上の成功をおさめなくてはいけない。
  • Aは何をしなくてはならないのか?⇨AはBのチェックレイズを60%以上失敗させなければいけない。

Bのチェックレイズが成功しなくてはならない率が40%。

その成功率を破るには、Aは自身の続行レンジの60%(100%-40%=60%)で守らなくてはいけません。

60%のレンジってどのくらいの広さなのかな?

試しにGTOウィザードから約60%をみてみましょう。
(《6MAX、50nl、general》COがオープンしてBBがコール。COの0.3xベットに対してBBのレンジ)
60%

この緑と赤の部分で合わせて約60%。

Aはこの緑と赤の部分でオールインをしなければいけません。

「Qヒット。2ヒット。Aハイ。Kハイ+ハイキッカー。J+ハイキッカー。ポケットペア。」

これがBのチェックレイズをプラス収支で無効化するのにオールインしなければいけないハンド群。

ここでは、「KJo」ですらオールインしなければいけないことになります。

もしもAにボトムペアやハイカードでオールインする根性がなければ?

Bのチェックレイズがどれだけ信ぴょう性に欠けているかなんて気にする必要がなくなります。

Bはチェックレイズし放題!

AはBの戦略を破るために、レンジの60%の知識をつけたり、根性を発揮したりしなければいけません。

チェックレイズが有効な場面②

有効な場合②
相手がポットコントロールをする人間だとわかっている時。

ここでは筆者のエピソードを編集して紹介していきます。

筆者のエピソード

つい先日、私はベルギーのプロとヘッズアップになっていた。

私のメモに「彼は高頻度でポットをコントロールしたがる」とあった。

だから、フロップで「A42」レインボーと落ちてきて彼がcbを打つたびに、私は笑いが止まらなかった。

そんな堅実な彼がこのボードでcb?

Aヒットの大半はチェックバックしてるだろうと想像がつく。

こんな彼がcbを打つハンドは、ナッツ級かブタ。

おそらく、ブタの方が多いだろう。

私「レイズ!

私は彼のcbにチェックレイズし続けた。

何の手も持っていないのに!

その理由は、70%の確率で相手のブタハンドに当たるから。

私のオッズがとても良い場面になっていたのだが、彼にはこの対策は難しいことは分かっていた。

彼は慎重なゲーム運びで稼いでいる。

「そんな彼を居心地の悪いスポットに置き続ければ、フォールドボタンの連打がみられるってわけさ!」

「Excelling At No Limit Hold’em」|チキンボードに関する考察のまとめ

筆者が呼ぶチキンボード。

「Q♦Q♥2♠」、「K♦5♥2♠」、「A♥4♦2♠」のようなボードを言います。

特徴

このボードでチェックレイズする有効な場面が2つ紹介されていました。

  • スタックが浅すぎて、チェックレイズされた側がオールインしなければいけないとき。
  • 相手がポットコントロールをする人間だとわかっているとき。

対策としては、より広いレンジでコールしたり、分散を恐れないことになります。

これは、ポーカーのエクスプロイト戦略です。

エクスプロイトを攻略するやり方を知っておかないと、あなたはずっと搾取されてしまうかもしれません。

では、ここから私がなぜこの記事を取り扱うことになったのか、その理由を物語から記述していきます。

「Excelling At No Limit Hold’em」からエクスプロイト戦略を攻略する!

筆者はこんなことを語ります。

ポーカーをテレビとかで見て超高度な変態プレイに憧れる。
どでかいブラフを決める。
一点読みを炸裂させてむしり取る。
そんなプレイに憧れていざ始めると破産します。
確実に死にます。
私はまず基本を教える。
そして、徐々にレベルアップさせる。
少しずつ上のレート、上のレートへと登らせる

ポーカーの王道は、前回紹介したようなジョナサン・リトルが語るポーカーです。
>>ジョナサン・リトル動画の紹介

ただし、ポーカーは王道だけではなくエクスプロイト戦略があります。

基本を覚える。

徐々に上のレートへ行く。

その上のレートでは、王道とはまったく外れた超高度なプレイがあるのかもしれません。

エクスプロイト戦略は上のレートかもしれません。

では、「エクスプロイト戦略も学ばないといけないと思った話」をストーリーで話していきます。

エクスプロイト戦略を受けた話

リングで3人プレイをしていました。

Aさん⇨「GTOを勉強していて、相手のブラフがなんとなくわかっている」
Bさん⇨「ブラフが多いと公言している」

Bさんのコールが広いと思ったAさんは、Bさんに3betをしかけていきました。

初めはフォールドもあったけれど、そのうちBさんは3betをコールし始めます。

そしてフロップ。

3ベットしたAさんはハンドとフロップがマッチしません。

A「フロップがローボード。GTO的にもチェックしても問題なさそうだからチェック。」

そんな予測をしてAさんはフロップをチェックしました。

すると、Bさんはレイズ

レイズにはコール出来ないと思ったAさんはフォールド。

何回か3betポットがあり、その度ごとにフロップとハンドが絡まなかったAさんはチェック、Bさんはレイズを繰り返しました。

だんだん負けてきたAさんはBさんにエクスプロイトされていることに気が付いています。

A「ブラフだろうなぁ。でもヒットもバックドアも何もなしにコールできない。Kハイのみでコールする勇気もないな。」

Aさんはエクスプロイト戦略に搾取され続けました。

「Excelling At No Limit Hold’em」からエクスプロイトの対策を学ぶ。

エクスプロイト戦略で学んだことを活かしてみましょう。

まずはレンジの60%(仮)でコール以上を選択する。

さきほどのコール以上のレンジを見てみると、「KJo」「K9o」などK+ハイキッカーはコールです。

実際にAさんは「K+ハイキッカー」を持っている率が高かったので、そこはコールしなければいけませんでした。

AさんはBさんのレイズを60%以上失敗させなければいけません。

その場合に、いつもは下りる手も、エクスプロイトされているとわかっているときはコールです!

Aさんは3betポットで、ポットが大きくなることの恐れからもフォールドがありました。

その場合は、分散を乗り越えなくてはいけません。

ポットコントロールしていったら負ける、ということを意識します。

今回の翻訳から、Aさんはエクスプロイト戦略を攻略する道筋を得ることができました。

搾取派のBさん。

Bさん「搾取ラインにも論理的根拠があります。
理論武装したうえで、相手そのものを搾取していく。
相手に不可解な選択肢を迫り続けてミスを引き出す。
電卓をより早く打てる人間が勝つゲームではなく、もっと奥深いゲームだからこそ楽しくもある。」

その場でエクスプロイトをされる、エクスプロイトをする。

GTO理論のラインにも、搾取ラインにものる。

機械(AI)相手にプレイしているのではなく、相手は人間

人の弱いところをついてくるのもエクスプロイト戦略の一つです。

エクスプロイトを受けたからこそ、今回の本の一部を紹介して、その戦略も学ぶことが出来ました。

ポーカーって奥が深いね!

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