「ゲーム理論の思考法」(2008年、川西諭)を読みました。
ポーカーといえばGTO(ゲーム理論)。
なので、実際に「ゲーム理論の思考法」からポーカーに役立つ情報をまとめていきます。
ポーカー初心者でポーカーに慣れてきた状態。
(例えば、「ABCポーカー」を身につけた状態の人。)
初心者からすれば、ブラフが出来ない、という悩みがないでしょうか?

なぜブラフが出来ないのか、という理論を本から見ていきます。
「ゲーム理論の思考法」からみる初心者がブラフをできない理由
「ゲーム理論の思考法」の第5章「なぜ、人は『合理的』になれないのか?」を抜粋。
基本的なゲーム理論では「プレイヤーが自分の利益だけを考えて、ズル賢く行動したなら」という条件のもとに、その適正な行動をとっていきます。
これはポーカーにおけるGTOに従ったプレイで、このような行動を取ればミスがありません。
けれども、著者は言います。
人間は、必ずしも「自分の利益」だけを考えて、ズル賢く行動するとは限らない。
この合理性だけでは説明できない現象が、実験によって明らかになってきました。
理不尽な行動を論理的に解明しようとした結果をたどっていきます。
- 人は「先読み」できない
- 人は「金銭的価値」だけで行動しない
ゲーム理論から外れた人の習性を知ることで、初心者がブラフをできない理由につなげていきます。
「ゲーム理論の思考法」|人は「先読み」できない?
「人は、そこまで先を読んで、行動していない」
このことを示すゲームの1つを紹介します。
100円を買うゲームをやります。
ルールは、競売をして最も高い価格の人が100円を買えます。
2番目に高い金額を言った人は100円を買えないのですが、その値段を支払わなければいけません。
例えば、1番高く値づけした人が100円に50円、2番目の人は40円とつけていた場合。
1番目の人は50円のプラスになって、2番目の人は40円のマイナスを出します。
このゲームで勝つには、どうしたらいいのでしょうか?
このゲームの攻略法は2つあります。
- 初めから99円と値付けをする。
- 参加しない
ゲームに参加したとして、その結果がどうなるかを予測すると、自分が損をしないためには100円の手前、99円とコールするのが最も利益的です。
99円というのは、利益が出るぎりぎりの金額。
100円を超えると損をすることは明らかなので、自分が損をしないために99円と先にコールしてしまうのです。
ところが。
もし相手がすでにコールしていたとすれば、その損失を少しでも和らげようとして99円に対して100円とコールする場合があります。
相手が損失を回避したいと思った結果、値段は101円、102円と吊り上がっていくのです。
こうなると、すでに参加している人すべての人が損をしていることに!
なので、「ゲームに参加しない」。
解答②「参加しない」が最善策になるのです。
もし誰かにこんなゲームをもちかけられたとしたら、まずは参加してしまうのではないでしょうか?
そこからゲームを通じて、「ああ、そういうことだったのか!」とゲームをしながら理解する人が多いらしいのです。
たいていの人は「適度なところでやめる」というくらいの見通ししか持っていません。
人間とはそのくらいしか先を読めない生き物なのです。
先を読めない生き物だから、人は合理的に動けないという実験結果です。
ポーカーに置き換えると?
ポーカーではブラフをすると結果的には利益がでます。
なのに、ブラフができない、ということは先が読めていないという事。
ゲームを理解するにつれて、「そういうことだったのか!」という理解が増えて、ブラフができるようになるのではないでしょうか。
先(ゲーム全体)を読むために、ポーカーのゲーム理論を知ることがおすすめ!
>>ゲーム理論(GTO)とは
とはいえ、ゲーム理論を理解すればブラフが出来るのか、と言えばそうも言えません。
他人が先を見通していない可能性を考慮する
ゲームの構造を正しく理解していても、「他人がそれほど先を見通してはいない」という事実を無視すると、驚くほど大きな失敗をしてしまいます。
この失敗の例は、競売ゲームで相手が100円とコールしそうな人か、しなさそうな人か、ということにかかってきます。
ゲームを理解している人なら、100円とコールしないのですが、相手によっては100円、101円とコールしてしまうのです。
これは相手がそれほど先を見通していない、ということ。
どんな状況でもブラフすればいいわけではなく、相手プレイヤーの実力を見ることで、ブラフできるのか出来ないのかを判断します。

「ゲーム理論の思考法」|人は「金銭的価値」だけで行動しない
金銭的価値より、精神的満足度が優先されている
このことを示すゲームの1つを紹介します。
最後通牒(つうちょう)ゲーム
2人のプレイヤーで1000円をわけます。
一方が配分の仕方を決め、もう一方はそれを「受け入れる」か「拒否する」かのいずれかを選択。
受け入れれば配分通りの金額を得られますが、拒否すれば2人とも何も得られません。
行われるゲームは一回のみです。
このゲームの合理的な最適解は「自分999円、相手1円」です。
相手は1円でも得られれば合理的なのです。
ところが。
実際には受け取る側は1円以上の提案でさえも「拒否する」人が大勢いたのです。
さらに、分け与える側もかなりの人がある程度の金額を相手に与えることがわかりました。
この理由の一番は「人の心」だそうです。
私たち人間は、「相手と協力する」「相手に喜んでもらう」あるいは「認めてもらう」という行為そのものに喜びを感じるようにできています。
ときにそれは、金銭的価値よりも優先されるということです。
つまり、チップ(金銭的価値)よりも精神的満足を優先させます。
ポーカーで考えてみると?
精神的満足が低くなる状態を考えてみます。
その一つがブラフを失敗して相手にコールされたとき。
金銭面に限らず、あらゆる場面において「失敗そのものよりも、失敗したと周囲に思われることがイヤだ」という人はたくさんいるはずです。
この文章は本からの抜粋ですが、ポーカーのブラフを表したかのような文章です。
このような心理面が初めから人間に備わっているとしたら、ブラフの失敗を恐れない、という精神も必要になってくるかもしれません。

「ゲーム理論の思考法」から初心者を抜け出してブラフが出来るようになろう!
ゲーム理論から外れた人間の本能的な習性。
これらを知ることで、初心者がブラフをできない理由をみていきました。
- 人は「先読み」をそれほどできない
- 人は「精神的満足」を優先させる
人間の習性を知っておくことで、初心者がやってしまうミスを防ぐことができます。
