プリフロップ理論の基礎|GTOウィザードのYouTube動画を紹介

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GTOウィザードのYouTube動画はすべて英語なので、ブログで翻訳してそのまとめを紹介していきます。
(あくまでも個人のまとめです。そのままの内容を理解したい方は動画をどうぞ)

今回紹介するのは、

「Fundamental preflop theory」
基本的なプリフロップ理論

参考にした動画はこちら。

動画の表題にあるプリフロップのmorphology(形態学)は、レンジの形をさします。
レンジの4つの基本的な形についてまずは解説。
そこから、どの場面でそのレンジを使っていくのか、そもそもその形になったのはなぜか、ということを見ていきます。
要点
  • レンジの4つの基本形を知る
    ポラライズドレンジ
    リニアレンジ
    コンデンスドレンジ
    マージドレンジ
  • なぜこのようなレンジが使われているのか
  • レンジの成り立ち応用編
プリフロップは暗記と言われているけど、理論を知ると覚えやすい!

プリフロップレンジの「基本形4つ」を覚えよう

ポーカーのレンジ基本形はこの4つ!

(動画1分の個所)

左から。

  • ポラライズドレンジ
    ⇨とても強いハンド、とても弱いハンド、それに少しの中間の強さのハンドが入ったレンジ
  • リニアレンジ
    ⇨ほぼ強いハンドで構成されているレンジ
  • コンデンスドレンジ
    ⇨多くはミディアムハンドで構成され、とても強いハンドやとても弱いハンドを含まないレンジ
  • マージドレンジ
    ⇨とても強いハンドと弱いハンド、さらにその中間ハンドも含んでいるポラライズドとリニアの中間レンジ

このような基本的な形を掴んでおくと、プリフロップやポストフロップのプレイがより良くなります。

言葉は知ってたけど、「プレイに活かす!」って感覚がなかった…
では、実際にどのようにプレイに関わってくるのかを見ていきましょう。

プリフロップレンジの特徴とは?

クイズです。

これらのプリフロップでは、どの「レンジの形」にあてはまるでしょうか?

  • 「BB 3bet(SBのオープンに対して)」
  • 「COオープン」
  • 「BTNコール( HJオープンに対して)」
  • 「BB 3bet(BTNオープンに対して)」

ポラライズドレンジ、リニアレンジ、コンデンスドレンジ、マージドレンジをそれぞれに当てはめてください。

ええっと、各場面を思い浮かべて…
答えは
  • 「BB 3bet (SBのオープンに対して)」
    ポラライズドレンジ
    SBオープンに対するBBの3betレンジはポラライズされている。
    とても強いハンドと弱いハンドでポラライズされた3bet。
  • 「COオープン」
    リニアレンジ
    COのオープンレンジは定義ではリニアレンジ。
    COは良いハンドでオープンして、悪いハンドではフォールド。
  • 「BTNコール( HJオープンに対して)」
    コンデンスドレンジ(デポラライズドレンジとも言われる
    BTNのレンジの多くはミディアムハンドで構成されていて、少ないナッツハンドとゴミ手も含まれる。
    強い手ならば3betをするので、レンジがキャップ(制限)されている。
    コールするハンドの多くはポケットペアやスーテッドコネクトハンド、強いAX、いくつかのスーテッドブロードウェイカード(T~Aで構成されたハンド)
  • 「BB 3bet(BTNオープンに対して)」
    マージドレンジ
    BTNに対するBBの3betレンジは、ナッツやブラフやミディアムなバリュードローなどで構成されているレンジ。
そっか、なんとなくそのレンジの形でプレイしてたかも
基本をさらに振り返っていくことで、なぜこのレンジでプレイする必要があるのかをみていきます。

リニアレンジ

リニアレンジから学んでいきましょう。

リニアレンジは4つの中で一番理解しやすいレンジ。

強いハンドが多く、そこから中くらいの強めのハンドまでだんだん(強い多め⇨中くらいの強さは少な目)に構成されています。

⇩はCOのオープンレンジです。
(6Max 100bb general nl500)

強いハンドからだんだんに構成されています。
(全体の29.3%でオープン)

さらに、例えばHJのオープンに対してCOが3betするレンジもリニアレンジです。
(6Max 100bb simple nl500)

一番強い手からだんだんに中間の手までのハンドで構成されています。
(全体の11.2%で3bet)

3betレンジの方がレンジが狭まっていますが、両方ともリニアレンジといわれます。

強い手が多い

ポラライズドレンジ

次にポラライズドレンジです。

「BB 3bet (SBのオープンに対して)」のレンジを見てみましょう。
(6Max 100bb simple nl50:nl50はレーキがnl500より高い。)

(レイズ18%、コール34%、フォールド47%)
ポラライズドレンジは赤く塗られている個所です。

EVが0のゴミ手が含まれています。

EV表記⇩

赤はEVが0、緑はバリューで黄色が中間。

EV表で見ても、ほぼ赤と緑で構成されているのでポラライズドレンジです。

「Q9oや65s、A4sはバリューなのでは?」という議論もありますが、EV表を見てみるとその答えがわかります。

「Q9o=0.16、65s=0.45、A4s=0.85」というEVなので、Q9oは比較的ゴミ手、他の二つは中間の強さの手です。

ポラライズドレンジのベットサイズ

「3betを受けたSB」は大きな4betでBBをフォールドさせたいと思うでしょうが、ここでは大きなサイズを必要としません

まず、SBのオープン(レイズ3倍)に対してBBはレイズ10倍(SBオープンの約3倍)をします。

このBBの3betに対してSBの4betは2倍で比較的小さいサイズです。(レイズ21倍)

この理由は、BBのレンジがかなりポラライズされているからです。

BBは弱い手をかなり含んでいます。

ポラライズドレンジだと知っているSBは、BBのゴミ手をフォールドさせるのに大きなベットは必要ないと考えます。

よくUTGオープンにBBやSBはかなり大きな3betサイズを使うけど、ブラインド同士だと小さめに戦っていくんだね!

「BBから3倍の3bet」に対してSBは4betを返す場合に、その2倍のサイズで抵抗。

BBはSBからのミニマム4betを受けて、ポラライズの弱い部分はフォールド。(T2sやK6oなど、全体の45%をフォールド)

SBの4betは小さくても、BBのポラライズの弱い部分(0EV)をフォールドさせることができます。

ゴミ手は小さなベットでも抵抗するのが難しい

IP(インポジション)の方がOOP(アウトオブポジション)よりもポラライズドレンジを使います。

ポラライド比率:IP>OOP

ポラライズドレンジの具体例

では他のシチュエーションでもポラライズドレンジを使ってみましょう。

BTNオープン。
SBから3bet。
BTNは4bet。
(BTNが3betに対して4betを返すレンジ⇩)

(EV表記。緑はバリューで赤はゴミ手。図は500nlでレーキ多め。)

SBの3betに対してBTNの4betレンジはポラライズ(緑がバリューで赤がEV0で少しの中間の強さの手)されていることがわかります。

人によってはAJoはバリューなのでは?と思うかもしれません。

しかし、ここではAJo、ATo、KQoなどはゴミ手(期待値が0に近い)にカウントされています。

4betレンジではAJo、ATo、KQoがポラライズドレンジの下のハンドになっているんだね!

IPの場合、4betしない中間の手はコールにまわります。

IPの方がOOPより中間の強さの手をコール。

では、IPがこのような傾向があるならば、OOPの傾向はどうなるのでしょうか。

OOPの具体例

COオープン。
BTN 3bet。
3betを受けたCO「レイズ22%、コール17%、フォールド60%」のレンジ⇩

赤色の個所が4betレンジ。

4betレンジにKQs、KJs、JTsをまわしています。

これらのハンドはEVが0ではありません。(4betを抽出したEV表記⇩)

KQsやKJsなどはEVが1を超えています(黄色)。

なぜ4betに回すのかというと、OOPからバリューでコールするにはEVが低いからです。

OOPは報酬が低い…

OOPでレイズにあったとき、あなたはコールする報酬が低くなります。

なので、OOPはポラライズを少なく。

IPはコールする報酬がより高くなるので、ポラライズする率も高くなります。

ポラライド比率:IP>OOP

コンデンスドレンジ

次にコンデンスドレンジです。

HJがオープンしてBTNがコール。
BTNのコールレンジ⇩「6MAX 100bb nl500 general」

BTN「レイズ9.4%、コール6.7%、フォールド84%」(コール6.7%を抽出した図)

BTNのレンジにはプレミアハンドはほぼありませんし、弱すぎる手もほぼありません。

多くは中程度の強さの「ポケットペア、Aのスーテッド、強いコネクトのスーテッド、ブロードウェイカード構成のハンド」です。

IPからコールされたら?

OOPが誰かのコールをIPから受けた場合、多くの場合、OOPはフロップでチェックを選択するのが好ましくなります。

「HJ対BTN」の集合分析を見てみると、プリフロップでHJ「ベット29%、チェック71%」とベットが少なめ。

オリジナルレイザーなのに、よりナッツハンドはもっているのに、それにも関わらず71%はチェックを選択しています。

BTNはキャップされているとはいえ弱い手が少ないので、HJのエアーハンド(EVが低いハンド)は負けてしまいます。

他の例でいえば、HJオープンに対してSBからコールがあった場合も、SBはコンデンスドレンジです。

コンデンスドレンジは中間程度の強さのハンドで構成されていて、弱いわけではありません。

例えば、「789」というボードになった場合に、コンデンスドレンジはとても強くなります。

IPからコールされると困っちゃうこと多い…

マージドレンジ

マージドレンジは少し難しいかもしれません。

インターネット上ではよりよい定義がされていないレンジです。

マージドレンジは、ポラライズドレンジとリニアレンジの中間というイメージ。

具体例でみていきましょう。

BTNオープン、BBは3bet。
BBの3betレンジのEV表⇩(nl50:レーキ設定高め)

BB(レイズ14%、コール26%、フォールド60%:レイズ14%を抽出した図

多くは緑の強いバリューハンド。

赤はEVが0のブラフハンド。

EV値が中間的な黄色のハンド。
(多くは低めのスーテッドコネクター、ローポケットペア、オフスートのブロードウェイカード。)

マージドレンジは一定の決まった形があるわけではありません。

よりリニアになったり、よりポラライズドになったりするので、リニアとポラライズドの中間をイメージすると理解しやすいのです。

レーキ高め設定(50nl)の「BTN対BB」のBBコールレンジは、ポラライズよりのマージドレンジ。(ブラフが多め)

他には例えば、HU(ヘッズアップ)でBBがコールするハンドはリニアよりのマージドレンジ。(バリューが多め)

なぜマージドレンジを使うのかというような回答はいつも、対戦相手の反応をみるとわかりやすくなります。

対戦相手の反応からレンジを理解する

BTNオープン。
BBは3bet(サイズはオープンの5.2倍【13bb】)
3betに対するBTNの反応を見てみます。
(レーキ50nlでレーキが多い設定。)

3betを受けたBTNは「レイズ15%、コール17%」で32%の割合で継続してプレイ。

継続するうちの45%は4betを返してくると予想できます。

BTNのレイズ率(4bet率)は思ったより高いので、比較的強いブロードウェイのスーテッドハンドなどは3betせずにコール。

これらのハンドはコールして戦っていった方がエクイティを相手に奪われません。(EV:KJs=1,QJs=0.8)

4betされてもすぐにフォールドできるハンドを多めに3betレンジに含めています。

次に同じ場面でレーキ設定を低め(500nl)にしてみていきます。

BTNオープン。
BBは3bet(サイズは4.4倍【11bb】)

レーキを低めにしたことによって、3betするサイズは小さくなりました。(5.2倍⇨4.4倍:13bb⇨11bb)

レーキが低いということは、私たちは中間よりのエクイティハンドをもっとプレイすることにつながります。

レーキが低いと、そこまでプリフロップで相手をフォールドさせなくても良くなるんだね!
レーキが低い設定でBBの3betレンジをみてみましょう。
BTNオープンを受けたBBのレンジ⇩(レイズ15%、コール30%)
(レーキ高い⇨レーキ低い:レイズ14%⇨15%、コール26%⇨30%)
3betではコールがより増えました。
より中間の強さのハンドをコールにまわします。
ここでのBBの3betレンジはリニアよりのマージドレンジになっています。
左(上)レーキ設定が低い3bet、右(下)レーキ設定が高い3bet。

分布をみると、ポラライズされていた弱い部分がなくなっていることがわかります。

  • レーキ設定高い⇨ポラライズよりのマージドレンジ
  • レーキ設定低い⇨リニアよりのマージドレンジ

なぜレーキ設定が低いとリニアよりになるのかということも、3betをうけたBTNの反応をみるとよりわかってきます。

3betを受けたBTN⇩(レイズ11%、コール36%)

BTNの反応がかなり変わっています。

「レイズ15%⇨11%、コール17%⇨36%」

BTNは約48%の確率でプレイを継続してきて、そのうちの75%はコールしてきます。

レーキ設定でこんなにもBTNの反応が変わる!

SBの3betサイズも小さくなっているので、よりBTNはインポジションを活かしてコール。

よりコールされる環境(相手がフォールドしない)では、SBはゴミ手を控えてリニアよりにします。

ポラライズドレンジの説明の段落で、レーキ設定が高いレンジを用いたのも、よりポラライズな形になるからだね
レーキ以外にも、相手が固い相手だったら、相手がマニアック(広いハンドをアグレッシブにプレイ)だったら、また対応を変えるということを言っていました。

プリフロップレンジの応用編

オープンサイズに関して

オープンのサイズについても見ていきます。

  • アーリーポジション(順番が早い)は小さいサイズでオープン。
  • レイトポジション(順番が遅い)では大きいサイズでオープン。

この理論も見ていきましょう。

アーリーポジションのサイズについて

UTGオープンに対して。

HJが参加する場合は100%3bet。
ここでHJはコールをするとスクイーズ(フォールドさせることを目的にした大きなベット)の危険性にさらされるので3betをします。

後ろのポジションのプレイを見てみると、UTGは3betにあう率が高く、コールは少なめ。

なので、UTGはオープンサイズを小さくしてリスクを少なくします。

強いハンドなら、3betをうけたときに4betで対抗することもできます。

レイトポジションのサイズについて

レイトポジションは3betをされる率が減り、コールをされる率が高くなります。

なので、あなたはリスクが少なくサイズアップができるのです。

ここまで学んできたことを活かして、ちょっと難しいクイズに挑戦してみてください。

プリフロップクイズ応用編

問題
なぜUTGはレーキが低い設定(500nl)ではA2s・ATo・KJoをフォールド傾向にして、レーキが高い設定(50nl)ではそれらをオープンするのですか?

・左(上):レーキ低め(nl500)・右(下):レーキ設定高め(nl50)

(レーキ設定以外は同じ設定で、UTGのオープン率も17.6%と変わりません。)

あ、レーキが高いと代わりにローポケをフォールドしてる!
ヒント:レーキが高くなるとプリフロップで相手をフォールドさせる報酬が増える。
A2sのEVは0。
答え
A2sやATo、KJoなどは対戦相手のスリーベットをブロックするハンドになっているから。(AKなど相手の3betハンドをブロック)
A2sなどはAを含んでいるし、期待値もそこそこあるのではないか、と思えるハンドですが、データではEVは0。
A2sはコールされるとあまりよくないハンドです。

オープン率は一定なので、代わりにローポケットペアやスーテッドコネクトハンドはフォールドに傾きます。

これらのハンドは3betハンドをブロックしていないので、レイズにたびたびあうからです。

レーキが少なくなると、ブロックするハンドはフォールドに傾き、その分ポケットペアやスーテッドコネクトハンドがオープンするハンドになります。

ポケットペアやスーテッドコネクトハンドはコールされる方がプレイをしやすいので、3betにはあいたくないハンドです。

応用編から学ぶエクスプロイト

もし3betが少なくて、コールが多い環境だったなら、アーリーポジションでも大きなサイズでオープンができます。

マイクロステークスだと、こんな環境が多いかも!

なんでもコールしてくるプレイヤーが多い時には良い手になります。

3betが少ない環境ではレーキが少ない(500nl)レンジを参照にしたほうが利益的かもしれません。

反対に3betが多くて強いプレイヤーが多いハイステークスのフィールドでは、レーキが高いレンジでアジャストしていきましょう。

機械的に2.5bbオープンとだけしていると、その分のエッジを失うことにもなりかねません。

フィールドに合わせてオープンサイズも変えられるね

プリフロップ理論まとめ

まとめます。

要点
  • レンジの4つの基本形を覚える
    ポラライズドレンジ
    リニアレンジ
    コンデンスドレンジ
    マージドレンジ
  • なぜこのようなレンジが使われているか
    ⇨対戦相手の反応を見て、そのレンジが使われている意図を掴む
  • レンジの成り立ち応用編
    ⇨環境に合わせてオープンサイズやオープンするハンドを変える
理論を掴んで環境にアジャストできるようになりたい!

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前回紹介したGTOウィザード動画はこちら。
「The mechanics of fold equity」
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